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ジャパン

良い意味でも悪い意味でも、日本にとってアメリカが大きな存在であることを否定する人はあまりいないだろう。一方、こっちに来て強く思うのは、一般的なアメリカ人にとっては、残念ながら日本は全く眼中にないと言うことだ。日本と言えば、お寿司を発明した国程度の印象しか持っていない人も多い。例えば、ビジネススクールのケーススタディでも、日本企業が題材になることは皆無だ。世界第二位の経済国であることを考えると、異常なまでのプレゼンスの弱さだ。でも、リーダーシップのようなクラスでは、変な国民性の代表例としてあげられちゃったりしている。このままじゃ、日本は確実に世界に取り残されるな、、、でもそうしたら英語をしゃべらなくてすむから良いか、なんてことを毎日思っている。

というわけで、普段は全くスポットライトが当たらない日本であるが、今日は、『日本のバブルの教訓』という題名の講演会があったので、いそいそと聞きに行った。現在の米国の状況が日本のバブル崩壊直後と類似しているので、日本の経験から何か学ぶことはないかという趣旨の講演会だ。客の入りもまずまず。カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授(日本人)や、元リーマンのチーフエコノミスト、コロンビア大学の経済学の教授の三人がそれぞれの切り口から講演を行った。

講演内容は三者三様でまずまず面白かったが、気になったのは、日本とアメリカの違いとして、政府の対応スピードの違いが強調されていたこと。新聞等でも良く見られる論調だ。つまり、日本の不況が長引いたのは政府の対応が遅れたからであり、一方、米国は素早く動いたので大丈夫と言いたいのだろう。

はっきり言って、僕はその考えは甘いと考えている。日本の不況が長引いたのは、決して政府の対応が遅れたことが主因ではなく、日本の金融・産業が構造的に変化するのにそれだけ時間がかかったということだと考えている。そして、今回のアメリカの問題も極めて構造的な問題だと思う。政府がいくら素早く金融機関に資金を注入したって、景気は回復しない。
僕は、日本のバブルの教訓をあげるとすれば、構造的な不況への特効薬はないこと、そして、痛みを伴いつつ時間をかけて回復するしかないこと、だと思う。ということで、僕はアメリカ経済に関し、悲観的な見方をしている。

by yuzukenzo | 2008-11-20 12:57 | 金融・経済・政治・社会  

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