コスタリカ旅行記 第三章:モンデベルデ

1時間早く迎えに来たこのドライバーはとんでもない奴だった。運転がケタ違いに荒い。制限速度60キロの場所を120キロでぶっ飛ばす。そして陽気に話しかけてくるが、何を言っているかさっぱり分からん。すると途中の橋でいきなり止まり、橋の下を見ろという。言われるがままに覗いて見ると、そこには巨大なワニがウヨウヨと泳いでいた。超でかい。ワニが見れるとは思っていなかったので、ラッキーだ。一番大きなものだと5メートルにも達するという。あのワニに襲われたらひとたまりもないだろう。

写真:ワニ
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しかし、本当に恐ろしいものはこの後に待っていた。ワニを見てホクホク顔で車に戻り、再びモンテベルデへと再出発すると、徐々に天気が崩れだした。雨足が強くなり、最後には台風のような天気に。その悪天候の中、未舗装の山道に突入。モンテベルデは標高1,000メートルほどの高地の町だ。大雨の山道なので、明らかに危険なのだが、この運転手は全くスピードを緩めない。それどころか、「ブーン」とか「シュワー」とか自分で効果音を言いつつ、危険なドライブを楽しんでいるようなのだ。さらにぬかるみで車が横にすべると、「ズザザザー」と言いながら笑っている。キャノピーの10倍怖い。地獄の山道は1時間続いた。精神的に瀕死の重傷を負いつつ、山奥のホテルに到着。ホテルはすごく豪華な建物だ。夕方早い時間に到着したが、外は雨だしドライブで疲れたので、ゆっくりと読書をしてモンテベルデ初日を終えた。

翌朝は、熱帯霧雨林のトレッキング。雨林ではない。雨霧林。なんと湿度は一年間を通して100%と言う。マヌエルアントニオの熱帯雨林とは異なった生態系があるみたいだ。ここには伝説の鳥ケツォールがいるらしい。手塚治虫の火の鳥のモデルであり、またその美しさから、世界中の野鳥愛好家の憧れでもある。といいつつ、僕はその存在を朝食の際に地球の歩き方を読んで知った。今日のトレッキングはガイドさんとオランダ人の女性と僕の三人。オランダ人の女性は旦那さんが体調を崩したので一人で参加しているという。マヌエルアントニオのトレッキングとは異なり、こちらは鳥、虫、植物が見所のようだ。僕もそれなりに関心しながら歩いていたが、同行しているオランダ人がやけに熱心で何てこと無い草や花の写真を撮りまくっている。自然オタクのようだ。すると、なんだか僕も写真を撮らないといけないような義務感がして、僕もたくさん写真を撮った。後で見てみると、何を撮ろうと思ったのか不明な写真がたくさんあった。なお、この雨霧林のガイドさんは全員自作の野鳥ガイドを持っている。分厚い野鳥大辞典のような本があるらしいのだが、そこからコスタリカの野鳥のページだけを切り取り、自分で表紙をつけて常に持ち歩いている。そして、新しい野鳥に遭遇すると、その本に日付や場所を記しているのだ。ガイドさんの本を見せてもらうと、9割ほどに印が付けてある。凄いねと言ったら、照れくさそうな顔をしていた。筋消しやビックリマンシールを集めるのと同じような感覚だろうか。

今回のトレッキングで僕が一番感動したのはフンコロガシを発見したとき。後ろ向きにウンコをコロコロと運んでいる虫を見つけ、おお、これはあのファーブル昆虫記のフンコロガシに違いないと興奮してしまった。ただ、ガイドさんに確認し、英文名とスペイン語名を教えられたが、それがフンコロガシを指す言葉なのか分からなかった。でもあれは間違いなくフンコロガシだった。トレッキングの最後の最後には、幸運にもケツォールにも遭遇。さすがに立派な鳥だ。ただし、僕らが遭遇したケツォールは雌。火の鳥のモデルは雄であり、さらに立派らしい。しかし、野鳥に全く興味の無い僕がケツォールを見るなんて、まさしく豚に真珠だなと思いつつホテルに戻った。

写真:伝説の鳥ケツォール
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写真:伝説の昆虫フンコロガシ
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午後は別の国立公園へ。こちらはHigh Bridge Walkと名づけられてる通り、山の中に高さ50メートルほどの細いつり橋が複数架けられており、それを渡って周るというコースだ。これはガイドさん無し。山に入り、5分もすると最初のつり橋が現れた。風で少し揺れている。僕の前を歩いている家族が「高い、怖い」と大騒ぎしている。しかし一人ぼっちの僕は騒ぐわけにも行かず、平静を装う。たしかに高いし少し怖いのだが、一人で冷静に渡るとそれほど騒ぐほどのものでもない。こういうのは、やはり誰かと一緒に来たほうが楽しいのだろう。普通は1時間半かかるコースをスタスタと45分ほどで歩き終えてしまい、若干むなしい気持ちに。

写真:つり橋
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まだたっぷり時間があったので、そばにあった温室のような建物に入る。するとそこは蝶を飼育している温室のようだ。美しい模様のでも僕にとっては気持ち悪い、大きな蝶が大量に舞っている。High Bridge Walkより数段怖い。。。ガイドが一人ついてくれて、色々と説明してくれる。内心は説明どころではなく一刻も早く脱出したい気持ちで一杯だった。しかし、いい年した男が、しかも自ら入ってきたくせに、蝶を怖がるなんて格好悪すぎる。僕は平気なフリをして最後まで説明を聞き通した。

さらに横にあった博物館のような建物にも入ってみる。すると、今度は昆虫の標本を展示した館であった。実は僕は蝶だけではなく、虫全般が嫌いだ。しかし、すぐに出るのも負けを認めるようで嫌なので、歯を食いしばって奇妙な虫の標本を見て周った。地球上最大の昆虫とか、20センチくらいあるタランチュラとか、木の枝に擬態する30センチくらいの巨大なバッタとか、蝶の標本で作った絵とか、金色のカナブンで作ったアクセサリーとか。小学生のころに憧れたヘラクレスクワガタの標本もあった。小学生時分の僕であれば大喜びであろう。しかし、今の僕はにはToo Muchだ。ホルマリン漬けになった太さ5センチ、長さ20センチくらいのヘラクレスオオクワガタの幼虫も。30分ほどの滞在。よく頑張った。

午後4時頃にホテルに戻るがまだ時間が早い。と言っても何もやることが無い。困って、ホテルの庭をフラフラ散歩していると、ホテルの私有地にトレッキングコースがあるとの看板があった。軽い散歩コースかと思い、足を踏み入れると、なかなか奥に行き着かない。ホテルの庭のくせにジャングルそのものなので、薄暗く若干怖い。いつ引き戻そうかと考えつつ10分ほど歩くと、前方にどこかで見たことがあるような丸い影が。あああ!あれは、トトロだ、となりのトトロがいる!じっと座って僕の方を見ている。僕は、ゴクッと唾を飲み込み、ゆっくりとカメラを取り出したが、その瞬間、トトロはさっと山の中に入ってしまった。あの丸い体、すっとぼけた顔、毛むくじゃらの体、間違いなくトトロだった。ただ、映画で見たイメージよりもずいぶん小さく、おそらく50センチくらいか。それに実物は野性味たっぷりだ。まあ、テレビのは漫画だからデフォルメされているんだろう。
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by yuzukenzo | 2009-07-05 21:08 | 旅行  

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